ながさ記

長崎へ行った記録、ながさ記です。

ある時から長崎にすごく行ってみたかった。それはいつだったか。まず映画『沈黙』が公開されたのが2016年、なんか興味を持って遠藤周作との出会いを果たします。映画はNetflixで観よう観ようと思って悠久の時が流れている。お金を払っているんだからちゃんと観させてもらったほうがいい。その1〜2年内に他に観た映画でも隠れキリシタンが出てきたり、テレビで軍艦島を見たりが重なったそんな時期がありました。
夫の故郷が福岡県内にあるので九州には来やすい。引くほどお金かかりますが。今回も福岡で1泊し甥っ子姪っ子たちと一夏のファミリーメモリーを獲得した後、長崎へ訪れたというわけ。

やっと来れるにあたり、遠藤周作をまた読もうと思っていたらたまたまWikipediaのページもない「女の一生」という作品を発見。これがなんと完璧な長崎ガイドブックだったのであります。2部作になっており、上巻は江戸末期隠れキリシタンの男に恋をした浦上から長崎へ奉公に出てきた少女の話、下巻は第二次世界大戦下の長崎に暮らすクリスチャンの家に生まれた少女の話。私はキリスト教のことは何もわかりません。でもこの歴史上でも遠藤周作作品の中でも神を信じて祈れば必ず助けてくださると言いながら理不尽に傷つけられ殺されていった人たちがものすごい数いますよね。遠藤周作が自身もクリスチャンでありながらなぜこのテーマを書くのか、私には読み込みも読んだ作品数も少ないし全然よくわかってない。難しい。そもそもわざわざ宣教しにきた人たちのモチベやばすぎる。あの時代の船で。そして沈黙に出てくる司祭のようにちょっと時期間違ったらエグいことなってる。通りで紙配ったり、近所にピンポンしに行くのとはわけが違う。本当に不思議。とにかく「女の一生」は史実に基づいた時系列のフィクションで大変勉強になった。主要観光地をめぐるだけでほぼ女の一生聖地巡礼。最後に摘発・迫害を受けた隠れキリシタンが暮らしていたのも爆心地になったのも浦上ということすら私は知りませんでした。浦上。すごい場所だ。後で書きますがそんな重要なポイントであるのにも関わらず浦上にいた時間が一番体力の限界でした。

福岡から長崎への電車を待っているホームで届いたメールを見ると予約していた軍艦島ツアーからで、数日前の台風で橋が壊れて復旧が終わらないので上陸不可!!!!!見るだけ!!!上がるな!!!!!お前らみたいなもんは!!!!!ただ見てろ!!!!!と書いてありました。思えばこの時点から全然長崎と相性良くなかった。私の気持ちだけが大きくなっていた。思わせぶりな態度は取らないでほしかった。時系列無視でここで軍艦島の写真をお見せします。

こんなに天気はいいのに
こんなに!天気は!いいのに!

超きれい〜こんなにきれいに撮れた写真をTwitterにもインスタにも載せず身近な人にだけみせて今まで黙っていられるなんて、私は何が目的で毎日莫大な時間インターネットをしているのでしょうか。
上陸しても行っていい範囲ってとても限られているし船がだいぶ寄ってくれたのでこれだけ見れたらまあいいのかなって思ったんだけどガイドの人はやっぱり上陸できるのとできないのとでは全然違うと言っていた。それはそうだろうけどさあ。そうだろうけどさあ!そんなこと言われてもねえ!明日帰らないといけないしねえ!!!!!!
長崎ってちっちゃい島がいっぱいあるから炭鉱の島が他にもいくつか軍艦島への道中にもあって、やはりどこもどんどん人がいなくなっているらしい。そもそも長崎自体、坂がエグいから高齢者が住みにくく人が減っていっているらしい。長崎に着いてすぐまず目に飛び込んでくるのがすごい坂道にぎゅっと建っている家々。今の実家もかなり山間で坂道が多い町なのだが、幼き頃引っ越してきて山の斜面に建つ家とか崖スレスレに家があってその下に道路があるとか、そういう景色を初めて見た時の気持ちがなんか甦った。あの時のもっとすごいバージョンを見ている感じで。しかしその景色を撮った写真が全然ありません。とてもきれいだったのに。多分熱中症なりかけており、歩くのがやっとだった。後から計算したら楽しめるはずの4分の1くらいの楽しみ方だったね。かわいそうな子。

虫除け持ってたのにつけるの忘れてて星の数ほどの虫刺されを獲得
邸!宅ちゃん
グラバ〜園にいる間に
めちゃくちゃいい感じのSUNSET


なんかもう夏ずっと暑いじゃん?札幌でも30℃超えるじゃん?何が違うんだろうこの西の気候とは。やっぱり耐性が全然ないっていうことなんだろうか。苦しくてマスク外しても(もちろん人いないところでね。こういうのは念入りに言っておいたほうがいい。)マスクの中と何も変わらない衝撃。中華街でちゃんぽん食おうとお店に入ったら熱に中っている私のサーモが真っ赤ですごい数字になっててウケた。入れるなよ。
じゃあ食べ物の話するけど、中華において豪華さとは何か。それは海老と蟹。せっかく来たからちょっといいやつ食べてみる?となると海老とカニの壁がある。夫は甲殻類アレルギー。適してないて。やっぱり。相性悪いて。でもせっかく来たから私には食べさせてくれて、夫は普通に大好物の餃子や麻婆などを食べ、それぞれひとつのライフそれぞれが選んだスタイル。でも私もう暑くて全然入っていかない。しょうがないこれは。相性が悪いから。酒も全然飲めない。私が悪いよ、せっかく来たのにこんなことになって。申し訳ないよ。でも心配が勝てよ。自分が酒飲むことを第一に考えやがって。九州の男は九州に来たらやっぱり九州が全開になるのか?削げ、札幌で削ぎきれ、そんなもんは。すみません。今どきマツコも言わない地域悪口を言ってしまいました。このように私の体調と共に仲も悪くなったモーメントがありました。夫婦とは、人間同士とはこのようにして暮らします。また2人で来たいです。

あとランチで海鮮丼を食べた際何を血迷ったか外席をチョイスした。絶対に中でクーラーに当たれよ。しんどいって。でもなんか来てる感が欲しいから。そういうのにだけ貪欲で、頭が悪いんだ。我々は。

ちょっと何の魚か全然わかんなかったけどブリブリでおいしかった


そして8月だし、絶対平和記念公園には行ったほうがいい。資料館も入った。式典直前のため設営工事中できれいな写真は撮れず。やっぱり核兵器を唯一実際に使われたってすごいことだ。NOと言えばなくなるわけでも確実に使われなくなる保証もない、持ってる奴がけっこういるすぐそばにいる、かもしれないけどNOは絶対に言わなければならないそれは絶対に絶対だと思います。

大浦きれいだね天主堂
千代の富士状態(限界)でなんとか写真だけ浦上天主堂

事前学習した浦上をもっと見たかった。路面電車に乗っているほんの数分間でも意識がなくなるくらいきつかった。もうきついって言っちゃったよ。楽しむ心置いちゃったよ。ここで生きてきた人々にもっと想いを馳せるべきだった。やっぱりキリスト教のことはわからないから教会でどんな顔をしていればいいかわからない。ただ女の一生大浦天主堂の描写をちゃんと読んでいたのでこれがあのマリア様!とかにはなった。キリシタン関連だと五島とかにも重要な地が結構あるらしい。結局わからないのになぜキリシタンは私の興味を惹くのか。

お待ちかねの夜景です!!

ハート見つけた?ずっと晴れてたのに重要な夜景ですっごい霧。今調べたらこのハート2020年に作ったらしい。めっちゃ最近じゃん。でもいいよね楽しみスポットを作る潔さ。函館にもラブだかスキだかの文字が見えるってあるんだけど既存の灯りを無理やり読ませる星座の成り立ちスタイル。こっちの見る努力に委ねすぎ。そっちがちゃんと演出しろ。その点長崎は素晴らしい。ありがたい。かわいい。

そういったところです。久しぶりの旅けっこう後悔が残った。禍を経て(経終えてはいない。経続けている。) はしゃぎ倒すべきが、長すぎる禍によりはしゃぎ方を忘れていたね。これは確実に言えます。しかし長崎、異国情緒溢れる街とよく言われますが本当に異なっている。知らないところに、来たぞ!感がしっかりある。異。長崎の今年の漢字「異」です。2022の思い出をありがとう。読んでくれたあなたもありがとう。